治療を開始してから約5ケ月、竹刀をお返しする。
まだ歩行は苦しいが、家の中や治療所の中だけであれば、
竹刀の助け加なくとも物につかまりながら
歩けるようになったのだ。
そんな中、私には新たな悩みが出てきた。
治療がさらにつらくなり、痛み加増した感じがする。
治療後の寝ている時間がどんどん短くなり、
先生の手をお借りしなくとも起き上がれるようになり、
他の方とのおしゃべりも楽しくなった。
毎日送り迎えをなにも言わずにつづけてくれている主人とも、
送迎の車の中でもおしゃべりできるようにもなった。
そして、支部にお世話になってから半年。
腰はまだ曲がっているものの、だいぶ痛みが楽になり、
いすに座りながら食器洗いや夕食の準備ができるようになった。
(私はこの治療で絶対に治る)
と本当に強く思えたのもこのころだった。
「昨日は100回ずつ腰回しを続けてきたんですよ」と報告すると、
「そう、すごいね。頑張ってえらいね。
今度は150回やってみようか」
「はい」と、かならずまずは誉めてくれる。
私は毎日先生に誉めてもらいたくて、
「昨日はこれをやりました。あれをやりました」
と細かく報告した。先生は一つ一つのことを
真剣に聞いて誉めてくれる。
ある患者さんから言われたことを思い出す。
「早く治るコツはね、とにかく先生方の
おっしやることを素直な心で聞くことよ。
年齢が上だとか下だとかそんなことは気にせず、
子供みたいに素直に聞くことよ」
(なるほど・:)と思いできるだけ実践してきた。
「今日はちょっとひざ巻き頑張ってやってみて」
と先生がおっしやれば「ひざ」、
先生が「かかと」とおっしやればひたすらかかとと、
報告するのも忘れない。
(頑張ってきたから誉めて・・・!)まるで子供だ。
治療開始から約8ケ月、主人の送迎から卒業し自力で通うことにした。
まだ腰は少し曲がっているものの、
日常生活はほとんど困らない程度になっていた。
あの日、竹刀にしがみついて歩いた道を
「軽やかな足どり」とまではいかないが、2本の足で歩いて通った。
1ケ月ほど自力で通ったころ(もう大丈夫だろう)
と感じている私に先生が、
「そろそろもう一度悪くなると思うからびっくりしないでね」
とおっしやった。「はい」と答えつつも、
(私はどんどん良くなっているんだし、
腰回したって頑張ってやっているから大丈夫)
と心の中で思っていた。
月刊自然良能より