■ 骨盤調整の真骨頂を知って苦しんだのがウソみたいに
ちょっとふれても激痛で悲鳴を上げた人が仙腸関節を正すと調整治療効果を
今回紹介する症例は、61歳の男性。
初めて治療所に来だのは2年前の1月25日であった。
ごつい体型の人だが、つらそうに腰を曲げて、
杖をついてそろそろと歩いて治療室に入ってきたのだった。
訴えた症状は臀部の左側から足にかけての痛みとシビレだった。
そうした症状が出始めたのは2年ほど前からだという。
当初はしくしくした痛みで、少々うっとうしい感じだったが、
どこかで(年齢だから)との思いもあり、
日常の動きにもさわりがあるというのでもなかったから、
そのまま放っておいたのであった。
そうするうちに次第に痛みがましていった。
つらい時にはマッサージにかかったりしたが、
その年の暮れも押し詰まってから、
網膜剥離で入院して手術を受けたのだった。
病院で年を明かし、退院して間もなくのころから、
症状は急にひどくなり、歩くのもつらくなってきたという。
また病院へいき、今度は整形外科に通ったのであったが、
そこでは痛み止めの薬と筋肉をやわらかくする薬を処方され、
服用したのだった。
最初のころは、薬を飲むとちょっとの間は痛みが薄らいだけれど、
そのうちあまり効かなくなって、
そうしながら良くなるどころか次第に悪化していくばかりであった。
このような症例は、自然良能会にとっては珍しいことではなく、
きわめて普遍的なよくあるケースなのである。
五味会長も著書などでこのような患者さんに接した時、
「なぜ、そこまで悪くする前に我々の治療を受けなかったのか?
さすればもっとはやく楽になって、無用の痛み、
つらさに苦しむことはなかったのにと、ついつい思うのである。
それをいっても繰り言だとわかっていても、
どうしても胸の内で『なぜ?』という言葉を反物している。
口惜しいのである。
骨盤調整のことがまだまだ知られていないことが・・・」
この思いは五味会長ばかりではなく、
同会の支部長に共通する思いであり、
骨盤調整のなんたるかを知ってもらうには、
本誌や単行本を通してのパブリシティと併行して、
治療の場でも患者さん一人々々によく説明し、
実際の治療効果で理解してもらう。
そうした積み重ねが大切であると思い、実践しているのだ。
骨盤調整のなんたるかを知らずに、いっこうに治らず、
より悪くなる一方の症状にどう対処していいのか困っていた時、
骨盤調整を受けたことのある妹さんが、自然良能会のことを教え、
紹介したのだった。
そして、電話で問い合わせてきて、その次の日に杖をつきながら
(いうところのへっぴり腰で)そろそろと治療室へ入ってきたのだったが、
いかにもつらそうで、少し動くのでも顔を痛そうにしかめていた。
「ここずうっと、夜もうつ伏せでなければ寝れないのです。
仰向けにはなれません」
それに、ちょっとふれられても痛くて・・・と、
話すだけでも痛そうに見えたのだった。
ともあれ、治療布団にうつ伏せになってもらったのであるが、
うつ伏せになってもへっぴり腰であった。
五味会長は、普段は患者さんの両足首をもって
少し引っ張り気味にして両足の長さの違いを見せる。
患者さんはなにか異常があって治療に来ているのだから、
全ての人が足の長さが違っている。
つまり仙腸関節が狂っている証拠だ。
(当然のように)狂っていた。
その違いを患者さん本人に見せて、納得してもらうものだが、
ちょっとふれても痛がるので、それができない。
そこで、座骨の押し上げから始める通常の手順は抜きにして、
まずは仙腸関節の矯正をしなくてはと、
五味会長はスタッフに指示して、
おなかの下にふたつ折りにした座布団を置かせたのであった。
そして、患者さんとは逆向きに立ち、
腰部の右側に左足を着ける調整の構えを取り、
右足の足首を持つか持たないかといった感じで軽く持ち、
右足を右仙腸関節にそっと当てた瞬間、
「ハーッ、気合一声、スバッ調整する。
これが激痛でちょっとふれても痛がる患者さんに対しての
仙腸関節の調整法なのである。
五味会長が常々力説しているように、
この仙腸関節の調整効果は抜群であり、
これこそ自然良能会(骨盤調整)の真骨頂であって、
他のどのような治療も真似のできない同会独自のものである。
なればこそ同会長は、この技法の錬磨の重要性を
日ごろから繰り返し説諭しているのだった。
この仙腸関節の調整は、通常は狂っている側から調整するものである。
左側の腰から足にかけての痛み、シビレを訴えたのだが、
五味会長は右の仙腸関節から調整した。
主因は右側の歪みであったからだ。
五味会長が講習会などで、症状のある人をモデルにして
実際の実技を見せる時、ほとんど右側の調整から始める。
先代会長は「右が80パーーセント」といっていたほど
右仙腸関節の歪みが主原因であることが多い。
そうした人を「ハーッ」と一閃、調整すると、
それまで何センチも短かった右足が逆に長くなっている。
これは右の狂いによる負担を、
自然に左でカバーしているうちに左側も狂わせて、
足がめりこんでしまっているからで、
次に左の油膜関節を調節すると、両足がピタッとそろって、
正しい形になるのである。
仙腸関節を調整した後、その他の関節の調整と緩めを軽めにして、
その日の治療を終えたのだったが、
「立ってみてください」というスタッフの声に促されて、
すうっと立って一瞬、びっくりしたような顔をした。
そして「ウソみたいに身体が楽になっている」といって
ニコニコしたのである。
初診の翌日から3月いっぱいまでは、毎日通って来たのである。
「仕事(自営)はまだまだ私が頑張らないとどうにもなりませんからね、
そのためにもまず健康にならねば・・・。
会長先生のおっしやる通り、中途半端にしないで、
治すときにはそれに専念し徹底的に治します」
そして、それ以降は週に3回か2回のペースで通ってきて、
その後は週1回になった。
「きちんと通えば、確実に治ります」
五味会長はくどくどとした理屈はあまり言わないが、
そうはっきり断言し実行している。
いまでは通常のように家業に精を出し、
またお孫さんの草野球の相手も元気にしているとか。
「自然良能会の昔の本のタイトルではありませんが、
本当に苦しんだのがウソみたいですよ」といい、
なぜもっと早くかからなかったのだろうかと、
それがちょっぴり悔しいですね、と笑っていたのだった。