(3) 椎間板ヘルニアのため痛い、立てない、歩けない

ある日、いつものように治療後寝ていると、
先生が患者さんと話しをしているのが耳に入ってきた。

「ここはね、本当に治したいと思う人だけ来るところなの。
真剣に治したいと思わない人は来なくていいの。
お金と時間の無駄だから」どきっとした。

自分に向けられた言葉ではないのに、
心の中で何度も繰り返してしまう。
(私は本当にがんばっているかな?逃げていないかな?)

このころの私は、腰回しどころか立っていることもままならず、
ゴムを腰に巻くのがやっと。
どうにか椅子に座ってかかと、ひざ、太ももの
治療をひたすら続けていた。

先生の言葉を受けて、私は腰回しをする決心をした。
ギュッとゴムを腰に巻き、1回2回・・・
とりあえず10回を目標にした。

左に回して10回。足がブルブルふるえてきてしまい、
このままつづけて右に回すことができない。
ひと休みをして右に回す。

すべてがこんな調子なのだが、
なんとか細かく分けてできるだけ回した。
つづけて30回ずつ回せるくらいのころ、
「だいぶ良くなってきてるから、どんどんチャレンジしていきましょうね」
「はい」と私は答えた。

(チャレンジか、まずはなにからやろう?)
そして治療後、私は決心した。

(自分の足で駅まで行ってみよう・・・)
主人にいつもの電話をかける。ただいつもは
「終ったから迎えに来て」と言うのだが、
今日は、「駅で待ってて。歩いて行ってみるから。
時間がかかると思うけど携帯は鳴らさないでね。

途中でなにかあったら私から電話するから」
と告げ、ゴムをいつもより強く巻き治療所を後にする。

治療開始当初から竹刀をお借りして、
杖代わりにしているが、
勿論竹刀を使わなければ駅までは行けない。

普通に歩行できる方なら
駅から治療所までは5分くらいだろうか。
10分まではかからないだろう。
私は竹刀をつきながらスタートした。

開始早々汗が吹き出してくる。
通行人の目線が向けられているのを感じる。
皆びっくりするのは当然だ。

竹刀を両手で握り、「はぁはぁ」と荒い
息使いの人が一人で必死に歩いているのだから。
(どう思われようと結構)と開き直り、とにかく駅を目指す。

主人の姿が見えた。涙があふれてくる。
「歩いてこれたよ」と主人に言うと、
(ここまで来れたといううれしさから、
その場で嗚咽をもらしながらうずくまってしまった。

「よく頑張ったね。えらいね」と主人は頭や顔をなでてくれた。
気がつけば20分以上かかった道のりだった。

次の日の朝、先生方に報告する。
「昨日駅まで歩いたんですよ」すると「すごい、本当に・・・!」
得意気な私を先生が誉めてくださる。

月刊自然良能より