(2) 椎間板ヘルニアのため痛い、立てない、歩けない

初診の日、「送っていくよ」と主人の言葉を背に、
「とにかくまず場所がわからないから、
駅からタクシーで一度行ってみる」
支部の玄関を入ると、
多くの患者さんがゴムを巻いて腰を回している。

(みんないいな、まっすぐ立てて・・・)
院長先生に診ていただいた。
「左の腰に痛みが出ているけど、
あなたの本当に悪いのは右の腰の方だよ」とのことだったが、
私は(とにかくこの痛みをどうにかして・・・!)
という気持ちで一杯で、この時の会話はよく覚えていない。

ただ治るまでには毎日通って7~8ケ月かかること、
時間はかかってもかならず治ること、
自分でも努力しなければいけないこと、
この3点はしっかり頭に残った。

こうして治療が始まった。とにかくどこをどう触られても痛い。
他の患者さんの話し声が聞こえるのだが、
なにを話しているのか耳に入らない。

そんななかひとりの女性の患者さんが声を掛けてくれる。
「腰が痛いの?」 一見どこが悪いのかわからない方だった。

「ええ、ヘルニアなんです」
「そう、かならず治るからね。
私もあなたよりもっとひどい状態だったんだから」

そんな会話から初まり、その方は私に、
「私も長いことお世話になってるからいろいろな患者さんを見てきたけど、
渡り鳥のように次の治療、次の治療ってやっていく方がいるのね。
なにかにすがりたいという気持ちはわかるけど、
それじやぁ、この治療の本当の良さはわからないと思うの。

つづけていればかならず良くなるから、
あなたは渡り鳥にならないでね。約束してね」
とおっしやると、私の背中を優しくなでてくれた。

私の第1回目の治療には、他の患者さんの何倍もの時間がかかった。

申し訳ないと思ったが、寝返りを打つにも
布団をギュツとつかんで全身に力を入れなければならず、脂汗が出るのだ。

治療が終わっても起き上がることができず、
約1時間布団に入ったまま。
起き上がる時は先生にお願いして手を借りる。

その後ソファーに座り、30分くらい動けない。
そんな一番手のかかる患者に先生方は
いやな顔ひとつしないどころか、
常に私をはげまし支えて下さったのです。

月刊自然良能より