(2) 左足が何かに触れただけで痛む 椎間板ヘルニア

電話をかけて、四月に治療を開始したのです。
そこでは、ていねいな聞き取りと治療と説明に
今までの不安と緊張がほぐされました。

痛みはすぐには変化しませんでしたが、先生の説明の中で、
「骨盤の歪みが取れてくると、薄紙をはぐように痛みが消えますから、
それまでは痛みを味わっていてください。

近いうちに今の痛みは味わいたくても味わえなくなりますよ」
と冗談もまじえながら、「大丈夫、治ります」という
先生のさりげない一言の中にも治療に対する自信を感じ、
「ここへ来て本当によかった」と思いました。

そして、最後に「明日また来てください」と言われびっくりしました。
私の住んでいる所から、治療所までは70キロほどあり、
車で高速道路を走り一時間半ほどかかります。

ここへ来るまでは、一回骨盤を治してもらい、
後は自分で体操をすればいいのだと思っていたのです。

そして、「痛みが楽になってくるまでは、
毎日骨盤調整をやったほうがよい」と言われ、
帰る車の中で、「毎日通う?」「なぜ?」「お金がかかる」
「やめようか」など、いろいろ自問自答してしまいました。

しかし、先生の「治りますよ」の言葉を信じて、
やってみるしかないと決めました。

それからの私の生活は、治療所通いとバラコン体操が日課となり、
本当にヘルニアの治療が始まったという気がした。

毎日通うことは大変なことでしたが、
毎日通う意味がだんだん理解できました。

左臀部からふくらはぎ、足の先まで出ている痛みは、
骨盤(左仙腸関節)が歪み、その状態で動くと
左足の動きを支配している筋肉部に大きな負担がかかる。

次第にその筋肉部が疲労して萎縮し、
血管や下肢を支配している坐骨神経を圧迫するために
起きている症状であるということ。

骨盤が長いこと歪んでいると
(痛みが出だのは筋肉の萎縮が限界を超えたためで、
相当前から骨盤が歪んでいたということ)

先生が骨盤調整で歪みを取ってくれても、
またすぐ歪んでしまうということ。

歪んでしまう理由は骨盤の動きを支配している「筋肉」も
弾力を失い萎縮してしまっているから、
常に不自然な方向に骨盤を引っ張ってしまうと言うこと。

毎日治療することですぐに歪んでしまう骨盤を正常にして、
萎縮している筋肉を柔らかくするということ。

柔らかくなると骨盤は歪まなく、
身体が動くときに左足に不用な負担がかからなくなり、
左側の腎部から下肢の筋肉の萎縮が取れ、
坐骨神経の圧迫や下肢の血管の圧迫が取れてくると、
痛みがひけてくるということです。

また、毎日通うもうひとつの意味は、
単に骨盤調整を受けるだけでなく、
治療所にいる間、私は気持ちを開放してとてもリラックスします。
仕事のこと、家庭のことなど全て忘れます。

これは「免疫力」を高める上でもとても大事な条件です。

先生との毎日の対話や書物の中で、
一日だけでは理解しきれない病気のこと、自然治癒力のこと、
食事のこと、正しい生活の仕方や心構えなどの
「健康の法則」について少しずつ学びました。

細胞のひとつひとつが生まれ変わるたびに、
健康になっていくようでした。
これは短期間ではとても無理なことです。

治療を始められても、本当にこの治療でいいのかと
迷われる方も多いと思いますが、
あきらめず自分の力を信じ、健康の法則を実践すれば、
かならずや治ると私は自分の体験を通して自信を持って言えます。

私が迷いながらも「これでいける」と実感したのは、
治療開始後一~二週間たったある朝です。

目が覚めたらあおむけで寝ていて、びっくりしました。

それまではあおむけで寝ることなどとうてい不可能で、
ふとんが足に触れても痛いので、羽根の軽いものにかえ、
横向きで、まくらの上に痛い足をのせて寝ていました。
寝返りをうつと痛みで目が覚め、熟睡することはありませんでした。
それが目が覚めることもなく、普通に上を向いて寝ていたのです。

その日から、迷うことなくこの治療に専念しました。

一ケ月は毎日通い、その後一日おきになり、週二回、週一回となって、
九月からは仕事に復帰できるようになりました。

一日ほとんど立ち仕事で、歩く距離もかなりになります。
多少の足腰の疲れとつっぱり感はありますが、
生活にはまったく支障はありません。

毎日バラコン体操と柔軟体操をつづけ、玄米食を食べています。
骨盤調整は月に一~二回受けています。

私にとって、椎間板ヘルニアは本当に苦しく、
生きているのがつらい時期もありました。

でも、ヘルニアになったお陰で、今までよりずっと健康になり、
そして賢くなったと思います。

月刊自然良能より