(2) 健全な心は健全な身体に 腰痛治療を経験して

今回の症例であるHさんが、初めて自然良能会に
来たときは28歳であった。

だが5~6歳は若く見えた。
とはいっても、若々しいというのではなく、
弱々しくて力のない風情が、
たよりなげな女性と映ったのであった。

顔の色艶がない。
中肉中背で、痩せている様子はないのだが、
とにかく見るからに不健康な感じであった。

痛いのだろう、右の臀部に手をそえて、
そろそろとした足取りで治療室に入ってきた。

訴えた症状は、「腰椎椎間板ヘルニア」

腰椎の3番と4番の間と、4番と5番の間に
ヘルニアがあると話したのである。

右腰はもちろん、右臀部から太もも、膝から下まで、
つまり右下半身が全て痛いというわけだ。

それに背中もキリキリと痛むそうで、
椅子に座ってなにかをしていても、
ちょっと身体を動かしたりとか、
なにかの拍子で激痛が走ったりするという。

いまは、「家の近所を歩くのもつらいので・・・」
ほとんど家の中でブラブラしていると言った。

「私って、しごく丈夫だとは思っていませんが、
だからといってそんなに弱いわけでもないと思っています。

第一、これまで病院へ入院するような病気に
かかったこともないんですよ」というのだった。

ところが2年半ほど前から、
腰に違和感をおぼえるようになったのだ。

当初は軽い痛みで、「ちょっとした疲れかな」と思った。
おぼえがある。少し前に女友達3人で旅行をしたのだった。

そのときに、楽しいばかりについついはしやぎ過ぎてしまった。
その疲れが出たのだろう。(そのうちに治るわよ・・・)
そう思って意に介さなかった。

一般的な通例の「たかが腰痛くらい」という感覚だった。
だが、Hさんは自身では「弱い体質ではないのでは」と
思っているようだが、十代のころから疲れやすい体質で、
それだけに活発に遊んだり、運動したりした記憶はない。

あまり外へいって遊んだことがなかった。
また、外へいっても遊び相手もいなかった。

みんな低学年のうちから学習塾へいっているからで、
Hさんも同じように塾へいき、
その他にバレエ教室へも通わされたが、
それはすぐに「お稽古がきついから」といってやめてしまった。

そんなHさんの腰の痛みは、当初のときおり痛みが伴うが、
さして気にもならなかった違和感が、
いつしか絶えずしくしくした疼痛になり、
その痛みが次第に強くなった。

ふと気がつくと軽く跛行をしている自分に気づき、
愕然としたものでであった。

痛みは慢性的になり、耐え難い激痛に襲われるようになって、
あわてて病院の整形外科にかかったのである。

そこで医師に宣告されたのが、
「腰椎椎間板ヘルニア」であったというわけだ。

だが当然のように整形外科の処置では・・・?

五味会長も本誌や著書の中で詳しく述べられているが、
端的にいえば根本原因である骨盤(仙腸関節)を
無視しているのだから、治るわけがないのである。

きわめて簡単な理屈なのだが、
Hさんはそうしたことを知らなかった。

つらいのでマッサージにもかかりながら、
整形外科に通院していた。

そのうちに歩くのも大変になってきた。
会杜の仕事もできなくなって、母親に相談すると、
「辞めて家で静養しながら治しなさいよ」と言われ、
退職したのだった。

それからしばらくすると、担当の医師から、
「これはもう手術するしかないでしょうな」と言われた。

ショックだった。悩んだ!

でも、それしか方法がなければと半ば覚悟した時に、
五味会長の著書「椎間板ヘルニア手術なんてとんでもない」
を母親が書店から見つけてきたのである。

それで自然良能会に来たのだという。
初診は五味会長が診る。

右仙腸関節が大きくズレている。左も同様だ。
だが、それほど重度な症状ではない、とさらりといった。

いわれてHさんはびっくりした。
同会長はすぐに調整治療にかかった。

終わると、再度驚いた。
身体がウソみたいに楽になっていたのだった。

それからHさんの治療所通いが始まった。
何回かすると、顔色がよくなってきた。
弱々しかった所作がしゃきっとしてきた。

骨盤調整の本当の効果は、まさに眼を見張るものがある。
それだけに、こうしてみるみる良くなる経緯を記しても
「ウソっぽい」と取る素直でない人もいる。

「これまで私、どうしていたんでしょうね」
というHさんもそうした一例である。