私が腰に痛みをおぼえたのは、40代になってほどなくでした。
(なにが原因なのかは皆目わからない)
突然の腰痛で、びっくりしたことを今もおばえております。
だが、後に自然良能会の骨盤調整のことを知って、
その原因のなにかが骨盤に起因し、
すなわち骨盤(一対の仙腸関節)のズレからくる骨格の狂いが、
腰やその他の痛みを誘発したものである。
けっして不可解なものではなく、
きわめて当然のものであったことを認識したのでした。
人間は直立して二足歩行をするようになったそもそもの時点から、
骨盤にかかる負担は非常に大きくなって、
腰痛は宿命的になったといいます。
立ったままの仕事や座ったままの仕事など、
あらゆるものが腰痛と背中合わせであって、
なかでも中腰になることが多い仕事などは
もっとも腰痛に見舞われやすいとのことです。
となると、私の職業である大工仕事は、
それに過剰なほどの力も使わなくてはならないだけに、
いうなれば腰痛になるあらゆる要素をもっているのです。
そして私は、痛みが発する前から骨盤を狂わせていたのでしょう。
しかし、その時はこうしたことを「知らなかった」し、
「正しい対応をしなかった」ので、長い期間、
不必要なつらくて苦しい思いをする羽目になったのでした。
思えば大変なまわり道をしてしまいました。
「たかが腰痛、されど腰痛」と五味先生は言われていますが、
本当に腰痛の本質を端的に指摘した言葉だと思います。
私もそうで、最初に痛みに襲われた時、
やはり「たかが腰痛」と軽くみて、
ちょっと休めばよくなるだろうと思いました。
2~3日仕事を休むと痛みが少し取れたので、
また仕事に出たのでした。
だがしばらくするとまた痛みだしたのです。
それからというものは、腰に痛みが出ると休み、
少しよくなるとまた仕事にでる、
ということを繰り返してきたのでした。
そうしながら、出る痛みの度合いがじりじりと悪くなっていき、
ついに耐えられなくなって病院に入院しました。
宣告された病名は椎間板ヘルニアです。
整形外科で受けたのは、腰をひっぱる治療(牽引)と、
ブロック注射を三回行いました。
神経ブロックの注射をすると2~3日だけは痛みが取れるのですが、
すぐにまたぶりかえしてしまうのです。
そんなことを何度か繰り返しながら入院していましたが、
仕事が忙しくなり、少し良くなったようなので退院しました。
それからは仕事をしながら通院し、鎖痛薬と湿布をもらい、
時には注射をするということがつづきました。
だが、そうしたことがどうにもならなくなってきたのです。
医者は「手術」をと勧めました。
(それしかないか・・・)
ならば若いうちに受けたほうがいいと、
思い切ってヘルニア削除の手術を行うことにしました。
一ケ月くらい入院し、それからは家でしばらくゆっくりしてから、
また仕事に復帰したのです。
だが、半年が過ぎたころから、
また腰が痛くなってきました。
それを我慢して仕事をつづけていましたが、
次に病院へ行くと、医者はレントゲンを見ながら、
「背骨がズレている」とか、
「年だから骨がもろくなってきている」というのです。
それでいて、的確な治療の方向を示すわけではありませんでした。
月刊自然良能より