腰痛になる事態が異常なことであり、
しかも腰痛にとどまらず、いろんな症状を誘発する。
その恐ろしさを知らないのだ。
若い人たちの腰痛が増加する原因はどこにあるのか?
「四十肩に五十腰」という言葉があるように、
肩こりゃ腰痛は高齢者特有のものと定評であったのは、
かなり以前のことである。
たしかに本来はそうしたものであり、
若年層には無縁の症状であった。
それがいまでは死語になったように思えるほど、
肩こり、腰痛は年々低年齢化している。
にひどい状態になってようやくあわてるのが常である・・・
そうした傾向が問題だといえる。
まだ小学生の、それも低学年の子どもが、
「肩がこる」と訴える。
本来なら、肩がこるとか、
腰がだるいと言い出す中高年の人たちにとっては、
自らの幼児期を振り返って愕然とするだろう。
考えられないことである。
ところが現在では、幼少児の肩こり、
腰痛が珍らしいことではなくなっている。
そうした現実が問題だ、というのだ。
いまだ10歳前後の子どもが
「肩こり、腰痛」を訴えることが多い事実に驚くよりも、
こうした子どもたちを作りだしている
「現実」の異常さに驚くべきであろう。
いまの生活環境、育児法、教育のあり方などの
もろもろを含めた現実が、
不健康な子どもを生み出しているのは確かである。
それは単に肩こり、腰痛だけの問題ではなく、
根本的な体力、体質に関して子どもたちを蝕んでいるようだ。
頭脳の秀れた人間に育成することは大切だ。
しかし、そのために塾などに通わせ、
勉強漬けにして体力のない、
不健康な子どもにしては意味がない。
教育とは・・・知育・体育・徳育の三つの要素が
バランスよく取ることで成り立つものである。
ところが教育の現状は、知育ばかりに偏重して、
体育(身体を銀えること)や
徳育(正しい心のありようを育むこと)を怠っている。
しかし、こうした偏った教育のありように、
子どもを託しているお母さんたちが、
なんの疑問もいだいていないようだ。
いずれにしても、最近の若年層は体格は大きくなってはいるが、
根本的な体力は格段に落ちていることは確かである。
「若い人が腰痛を訴えるなんて・・・」
と不思議がったのは以前の話であり、
いまではきわめて自然のことといえよう。
つまり遅かれ早かれかならず腰痛に見舞われるということだ。
生活環境の面からいえば、現在の住居は洋式多用で、
昔の日本式と較べるとはるかに腰への負担は軽いのだが、
それでいて腰痛人目が増えているというのは、
便利過ぎることが反対に腰(つまりは骨盤)を
鍛えることを怠って、やわな身体にしてしまったといえる。
つまりは、良くも悪くも「環境」がそうした若者を
つくり出したといえるのではないだろうか。