(1) 椎間板ヘルニアを骨盤調整で解消して

6月下旬のことで、そのときHさんは38歳であった。

中肉中背のがっしりした体躯の、
体育会系のいかついタイプだったが、
眼がくりっとした、「目元ぱっちり」した人というのが、
面談した本部スタッフの第一印象だった。

やさしげな人だな・・・という感じをうけたという。

ちょっと前かがみになり、腰に手を当てて、
つらそうな感じで治療室に入ってきたのだった。

訴えた症状は椎間板ヘルニア。

腰椎の4番と5番の間にヘルニアがある、
と病院での診断で、
他に脊椎分離症でもあると宣告されたと語った。

腰に痛みが出だのは3月ごろからで、
当初はしくしくした痛みで、
不快な違和感があったが、
「たかが腰痛だから、そのうち治るだろう!?」
と放っておいた。

仕事も年齢的にも第一線で頑張る時だけに、
やはり最優先する。

ちょっとした痛み程度で会社を休んだりはできない。
ただ、自分ではまだまだ若いと思っていたのだが、
いろんな障りが出る年齢になったのかな、
という感慨はあった。

しかし、腰の痛みは「そのうち消える」どころか、
次第にひどくなっていき、立ち座りもすうっとできなく、
痛みをこらえてよっこらしょという感じになった。

休みの日などは、努めて家で静かにしているようにした。
ただ、ゴールデンウィークの時は、
「娘に可哀想な思いをさせました」という。

Hさんには4歳になる娘さんかおり、
目元ぱっちりを受け継いだ可愛い子で、
可愛くってしかたがないようであった。

それだけにG・Wの連休には、
近所の同じ年ごろの子どもはみんな親に連れられて
遊びに行ったりして、
どこかへ連れていってやりたいと思ったが、
腰の痛さでそれができなかったというのだ。

そんなHさんに、奥さんが
「やはり、お医者さんに診てもらったほうがいいのじゃないの」
と勧めたのである。

そこで、28歳の時に右肩を骨折してかかった
病院の整形外科に行き、
診断してもらったところ、前記の病名を告げられ、

「いますぐというわけではないが、
症状によっては手術することになるでしょうね」
と宣告されたのだった。

それから何度か通院したが、
症状は好転するどころか悪くなるばかりで、
通勤するのも顔を歪めながら、
冷や汗を流しての行き帰りになった。

その間、あんま、マ。サージにかかったが、
受けた直後は少し楽になったように感じても、
すぐにもとの痛みにもどってしまうのだった。

そんなHさんに、次第に「手術」という二文字が
重々しくのしかかってきたのである。

(やはり手術をしなくてはならないのだろうか)

不安に駆られていた矢先、なにげなく入った書店で、
五味勝会長の著書、
「椎間板ヘルニア手術なんてとんでもない」
を見つけたという。

さっそく買って帰って読むと、タイトル通り
「手術なんてとんでもない」ことだと力説しているもので、

「現代医学(整形外科)では、椎間板ヘルニアは
突起したヘルニアを削除する手術をすれば
解消するとうたっているが、
それは間違った考えだと断言できる。

なぜならば、本当の原因を無視しているからである。
つまりわからないのだ。

原因がわからなくて、なぜ正しい治療ができるのだろう?
それでもなにかというと、手術を・・・と勧める。

それは他の方法を知らないからで、
医師自身が治るという確信も自信ももっていない。

それでいて安直に(多分に危険性をはらむ)手術を勧めるのは
とんでもないことである」といい、
椎間板ヘルニアの真の原因は骨盤(仙腸関節)の変位にあるので、
その歪みを正さなければこの症状は治らないと、
五味会長はズバリと言いきり、
その詳しいメカニズムと具体的な治療法を説明していた。

Hさんは、同会長の解説が全て理解できたわけではなかったが、
「椎間板ヘルニアは手術しなくても治る」
と明言していることに心ひかれ、
この治療(骨盤調整)に懸けてみようと決心して、
問い合わせの電話をかけたのだった。

応対に出たスタッフの、総本部では予約制は採っていないので、
との言葉でその翌日、治療所に来たのだった。