(1) 椎間板ヘルニアによるお尻の痛み

「治りたい」という一途な思いは、皆同じなのだろうが、
治療する間の対応は、人それぞれで異なってくる。

患者さんの「姿勢」がである。

自然良能会の門を叩く人は、
当初は病院をはじめいろんな治療を受けたが、
いずれもいっこうに良くなる気配がなく、
自然良能会の骨盤調整の噂を聞いて
来たというケースが多い。

それだけに、藁をもつかむ思いで来ても、
「この治療で本当に治るのかしら?」
との疑念で気持ちがゆらいだり、不安な思いが出たりする。

また気質なのだろうが、実に癖の強い人もいる。
そうした悲観的な考えの人は、当然問題であるが、
ちょっと良くなると「治った」と判断してしまう。

治療する側が困るのは当然だが、
それ以上に困るのは患者さん白身なのである。

「病気を治すのは自然良能の力だ」
 というのが自然良能会の基本的な考えなのだ。

自然良能とは、人間が本来もっている「自分で治す力」のことであって、
同会の治療家たちが行う治療は、
その自然良能を引き出す手伝いに過ぎないのだ。

現代医学とて同じことである、
患部を消毒したり、炎症を抑える薬を投与したり、
潰瘍を手術で除去したりするが、
それは手当でしかないもので、
治癒する力は自然良能の力の作用に負うしかないといえよう。

同会の専門分野である腰痛、神経痛などについても同じことがいえる。
同会では「万病一元」といい、
もろもろの症状の原因は、骨格の変位からくる
血液循環の不順、神経流通の阻害、
そして筋肉、靭帯の硬縮などなどから派生するものであり、
その骨格の狂いの根本原因は骨盤の歪みにある・・・

それが自然良能会独自の考えであり、
骨盤(巌密にいえば骨盤の中にある一対の仙腸関節)の
ズレを正すことを主眼にした治療法が骨盤調整であって、
実際に長年にわたって数多くの治療実績を積み重ねてきたのだった。

骨盤を正すことで血液の流れを活発にし、
自然良能を旺盛にする。
同会の治療はその一言に尽きるのだ。

それだけに、この治療法を信じ、熱心に通い、
また同法の補助運動であるバラコンバンドを使った
腰回し運動にも懸命に励む人と、
バラコン運動も熱心でない人とでは、
つまり前向き、後向きの患者さんでは「治る」ことに
大きな差ができるのは当然のことであるというものである。

だからこそ、自然良能会は「患者さんの姿勢」について言及するし、
患者さんにもあれこれ注文をつける所以であるのだ。

Kさんが、初めて総本部に来たのは昨年の2月であった。
ラフなスタイルをしていて、
上背もあり、がっしりした体だった。

訴えた症状は、椎間板ヘルニアであった。
「お辞儀のしすぎでヘルニアになったのです」

その症状に見舞われたのは、前年の11月だといい、
その理由がお辞儀のしすぎだという変な理由を聞いた本部スタッフは、
一瞬、ええっ? と思ったのだった。

さらにKさんは、秘書をしていて、連絡や折衝役を任されているので、
いつもペコペコとお辞儀のしっぱなしであったからというのだった。

鴨川さんは、昨年の11月に病院で椎間板ヘルニアと診断され、
2ケ月ほど入院したのだが、いまは左側のお尻の下が痛いと訴えた。

診れば、右仙腸関節がズレていて、骨盤が右上後方に傾いている。

痛みが逆方向の左側に出るのは、
悪い右を自然にかばうために左に負担が過剰にかかった結果である。

いずれにしても椎間板ヘルニアは、
この根本の原因である骨盤の狂いから派生したものであって、
ヘルニアの痛みは従犯であるが、主犯ではない。

医者はMRIなどの検査でヘルニアを見つけると、
すぐにこの病名を付けるから、五味会長が、「なんでも椎間板」
と榔楡するように、その病名の患者さんが圧倒的に多いが、
自然良能会では「腰痛」と主張している。

腰痛は現代医学では病名ではなく、
単なる状態をいうものとしているが、
同会では椎間板ヘルニアや股関節脱臼、ギックリ腰その他の症状を
総称した病名と考えている。

椎間板ヘルニアにしても、MRIなどの検査機器で、
髄核が突起して骨化したもの(ヘルニア)が見えるからというので
その病名が付いただけである。

本当の原因である「骨盤変位」にはなんの注意もはらっていない。

極端な例は、同じ検査機器に骨盤があきらかに歪んだ形に映っても、
医者は無視し、ヘルニアだけに注視する。

医者の「知識」には骨盤(仙腸関節)変位が
もたらす意味がないのであろう。