(1) 椎間板ヘルニアと神経ブロック注射

椎間板ヘルニアのあまりの痛さに
神経ブロックの注射を受けたのが、今回の症例です。

だが、神経ブロック注射は痛みを麻痺させるだけの手段であって、
治すための方法ではありません。

たまたま立ち寄った会社の近くの書店で、
自然良能会会長・五味勝先生の著書を目にとめたのであった。

「椎間板ヘルニア手術なんてとんでもない」であった。

その本で「骨盤調整」という治療法を知り、来訪したという。
訴えた症状は、いうまでもなく椎間板ヘルニア。

この本はハ広社から出したものだが、
「手術なんてとんでもない」と訴える、
インパクトのある書名に関心をもって購入し、
その夜、家で読んだのであった。

夢中で読み耽った。
衝撃的であったのは書名だけではなく、
内容も同様に衝撃的なものだった。

端的にいえば、やってきたいろいろな治療を否定されていたのである。
五味会長は、かかってきた現代医学(整形外科)の治療では、
腰痛、神経痛などの症状は「治らない」と、
はっきりと言いきっていたのである。

それが「なぜ」という原因と、症状の説明を具体的にし、
骨盤調整での治療法までもが記されていて、
「なるほど・・・」そういうものだったのか、と納得がいった。

その半年前ころから臀部の右側から、
右足にかけて痛みをおぼえたという。

猛烈に痛いというのではなかったが、
「しくしくとした痛みと、不快な重ったらしさ」があったと説明した。

男性はなによりも仕事優先で、なかでも40歳前後という年齢は、
勤め人にとっては些細なことで休みなんてとれない位置にある。

(40歳近くになると当然、なんらかの障りがでるものだろうが・・・)
さしたることもなかろう、と自分で都合のいい判断を下して、
なにも手当てをせずに仕事をつづけたのである。

だが、そうした自己診断は往々にして、
「つらく苦しい」しっぺ返しがあるもので、
例外ではなかった。

まもなく、しくしくした痛みがチクチクした痛みになり、
間欠的にズキッとした激痛が走るようになった。

そして、職場で椅子に座っていて立つとき、
激痛ですっと立てなくなってしまった。

通勤の電車の中でもそうで、立っているのがつらいので、
つい座席が空くと座るのだが、駅に着いて立つのが大変だった。

最初は人の眼を気にして、痛みをこらえて立ったものだが、
そのうちに他人の視線などは気にしてられなくなって、
うんうん言いながらやっとの思いで立ち上がったものだった。

そんな調子だから、座り込んで上半身を屈めて、
靴下を履くのができなくなって、家人に履かせてもらうようになった。

そこで病院(整形外科)へ行って、MRIなどの検査をした結果、
「腰椎4、5番の権開板ヘルニアですね」と宣告されたのだった。

そして鎮痛薬と湿布を渡されたという。
「病院の痛み止めが効いたのか、靴下を履くときの痛みは少しおさまって、
なんとか自分で履けるようになったのですが、
右足がしびれるようになりました」

しかし、それもつかの間のことで、またもとの激痛の状態になり、
聞いたことも忘れるようになってしまったという。

そこで、白身も、この痛みから逃れられるのならなんでもいい、
という思いであったので、医師に勧められるままに
ブロック注射をしたのだった・・・。

ここで、考えていただきたいのは、
「痛み」という症状の本質についてた。

今回の症例で痛みを表現するのに、
しくしくとかチクチクといった言葉を使っているが、
これらはいずれも当人が感じているだけの主観のもので、
第三者にはその痛みの正確な度合いはわからないものだ。

つまり、痛みとははっきり見えない、
あやふやなものといえる。

現代医学の、ことに整形外科が関わる症例は、
そんな「見えない痛み」に対応していて
、しかもそれらの「痛み」がどこからきたものかを考えず、
痛みだけに対処している。

自然良能会としてはどうしても批判的にならざるをえないのである。
受けたプロック注射もしかりだ。

自然良能会では、腰痛治療での現代医学(整形外科)
の定番ともいえる「神経プロック」については、
「危険度は高く、根本的に治すということでは疑問視」して、
実にあやうい方法であると、一貫して反対の姿勢をとっている。

「神経ブロックは、痛みのもとになっている神経の近くに
麻酔薬を注射する治療法である」と医師はいっていて、
患者さんたちも「治療」だと思っているが、
それは単に痛みを鎖める(麻酔でマヒさせる)だけのことで、
治す方法ではない。

しかも、「痛みのもとになっている」のは神経ではなくて、
根本は骨盤(仙腸関節)の変位が原因で起きる
骨格の歪みがもたらす筋肉、靭帯の硬縮から生じるものである。

そうしたことは、五味勝会長の著書
「椎間板ヘルニア手術なんてとんでもない」
に詳しく説明されているので、これ以上の記述は省略するが、
もともとプロック注射なるものは、単に痛みをマヒさせる
一時的の手段に過ぎないもので、けっして「治す」ための治療ではない、
ということを再度強調しておきたい。

そんなブロック注射を受けた。
いっときは痛みが軽減したが、すぐにまたもとの激痛がもどってきた。