腰が人体の要ともいえる重要な部位です。
腰・・・正しくいえば骨盤です。
人が動くということは「生きている」証しですが、
動くこと、運動することでなによりも重要なところは
腰(骨盤)です。
そのことをよく知っているのは、スポーツ選手や舞踊家です。
これらの人は「動く」ことが生活であるだけに、
その重要性を知ると同時に、いかに腰に負担がかかり、
それだけに腰を痛める確率も高いことを承知しています。
そうした事故を恐れるし、用心もしています。
今回の症例はクラシックバレエの先生をしている女性です。
腰、つまり骨盤の重要性を改めて実感する!
優雅な踊りの裏に腰痛が・・・
あらゆるスポーツに共通していえること。
「腰(骨盤)こそ人体の要」であるということは、
自然良能会が常々口にしているフレーズであるが、
一般の人はそのことにあまり神経を使わないが、
スポーツ選手は腰が競技生活において
重要な意味をもつものと熟知しているだけに、
腰については敏感なようである。
事実、腰にかかる負担は一般人より何倍もかかるようであるし、
それだけに腰を悪くするケースも多いの。
腰がポイントというのは、スポーツ選手ばかりではない。
踊りの世界でもいえることである。
日本舞踊などは、
「腰が決まっていない踊りは、見られたものではない」
といわれるほどだが、洋舞ではことにバレエが内容のきびしさと、
稽古のハードさから腰にかかる負担は大変なもののようである。
それだけにバレエ関係者で腰痛にかかる人が多いのも頷ける。
今回紹介するUさんは、クラシックバレエ教室の先生である。
バレエは高度なテクニックを要する踊りであるし、
かなりハードなものであるようだ。
それだけにバレエ関係者で腰などを痛める人はかなり多いし、
自然良能会の患者さんにもバレエ関係者は間々見られる。
Uさんは、クラシックバレエの先生で、
子どものバレエ教室を主宰している人であった。
Uさんの教室も多くの生徒さんをかかえていた。
その肝心の先生がダウンしてしまったのであった。
左のお尻からふくらはぎにかけて激痛が走り、
立っていられない状態になってしまったのだ。
初めて自然良能会に初診できた時、Uさんは39歳だった。
背筋がピンと伸びた、スタイルのいい、
年齢よりは若い感じの人でした。
最初に治療室に入ってきた時は、身体を前かがみにして、
お尻を後ろに突き出す格好であった。
見慣れた患者さんの姿で、さしたる印象もなかった。
だいたいが訴えた患部の反対側の仙腸関節が狂っているもので、
Uさんも例外ではなかった。
なぜそうなのかは、端的にいえば仙腸関節のズレだところを
本能的にかばうため、反対側に過剰に負担がかかるために、
痛みやシビレといった症状を発するものである。
治療が終わると、Uさんは、「だいぶ痛みが薄れました」
と心なしか頬を染めてそういった。
それからUさんの自然良能会通いが始まったのである。
何日かは連日来て、その後は一日おきか毎日かが交じり合ったが、
いずれにしても熱心な患者さんではあった。
治療室では腰回し機にも乗るし、バラコンバンドも熱心にしていた。
当初は階段を上がるのも本当につらそうであったが、
来るたびにくの字になっていた曲がりが少なくなってきて、
平行して痛みも目に見えて薄れていった。
そんな時、Uさんから、やめていたバレエのレッスンを始めたいのですが、
と聞いてきました。
柔軟体操のような軽いものから少しずつやられたらいかがですかというと、
当人も痛みを出さないように身体を動かしますと、
うれしそうに二ッコリした。
その時には、すでに腰もすうっと伸びていて、
背筋を伸ばしたバレリーナ特有の優雅な所作を見せていて、
なによりも心からレッスンをできるということを
よろこんでいる表情が印象に残った。
そして、実際にレッスンを始めたのであったが、
それからは治療にくる間隔があくようになった。
当然、教室の子どもたちにもバレエを教える目常に
もどったからだろうが、そうなってから、
「用心のためには、もう少しレッスンの許可を後に
したほうがよかったかもしれない」
早すぎた感じがしたという。
スポーツ選手でも、腰痛は少し休むと、すぐに復帰してくるが、
しばらくするとリタイアするケースが多い。
Uさんは合計53回治療した。
まだハードなバレエを踊るには早かったかもしれないが、
少なくとも骨盤調整をしっかり受けているので、
大丈夫だろうと思っている。
事実その後、Uさんは顔を見せないから、
元気で子どもたちを教えているのだろう。