治る手応えをつかんで
Sさんが自然良能会に初めてきたのは六十八歳。
自然良能登を紹介したのは、Sさんの知り合いで、
やはり自然良能会の患者さんである同じ年配の女性だった。
「膝が痛い」というSさんに、
「それなら、自然良能会へいけばいいわよ」といった。
しかも、あなたの住んでいるところからも近いじやないの。
Sさんが訴えた症状は膝の痛み。
右も左もひどく痛む。
数段の階段を上がるのもやっとだったという。
一年前に右足首を捻挫したとか。
すると一ケ月後に左膝に痛みがきて、
次いで右膝も痛みだした。
Sさんは右足首を捻挫したのに、
なぜ反対側の左膝に痛みが出たのであろうか?
不思議そうであったが、捻挫した側を無意識にかばうので、
反対側に過剰に負担がかかるところから、
膝に痛みがでたという・・・きわめて当然なことだが、
スタッフはそうした痛み、しびれ等の症状が連鎖的に出る
メカニズムを説明すると、「そういうものなのね」と納得した。
Sさんは六十八歳という年齢でも、
シルバー人材センターに勤めている。
大ベテランなのだが、それだけに私用で仕事を休むのもはばかれて、
無理をして勤めに出ていた。
そのうちに歩くのもつらくなった、
総合病院の整形外科にかかることにした。
まず常套の手順で「検査を」ということで、
レントゲンを撮ったところ、
両膝の内側の半月板が摩耗しているといわれた。
「これは、変形性関節症ですね」
と診断されたという。
それから整形外科に通うことになったが、これという変化はなかった。
むしろ悪くなるように感じていた、
そこでマッサージや鍼灸の治療もうけたが、
やはり当座は少し楽になったかと思ったが、
すぐに元の状態にもどってしまう。
そうしたことを繰り返していた。
そして二月前ほどから、
痛み止めの注射を何本もうってもらったが、
(このままで私、結局はどうなるのかしら?
不安と恐れで悩んでいるときに、
たまたま自然良能会を紹介されたのである。
一度試してみようと思ったが、内心は疑心暗鬼であったと、
後になってそのときの思いをスタッフに語ったのであった。
それだけ「治療」に信がおけなくなっていたようだ。
Sさんは小柄で、ぽっちゃり肥えた人で、
膝の痛みを訴えられたとき、正直なところ、
(これでは膝に負担がかかるだろうな・・・)
と思ったものである。
いまだシルバー専用の人材センターではたらいているだけに、
話し口調もしゃっきりとはしていたが、とにかく大変な状態だった。
月刊自然良能より